公開講座「途上国のグリーン成長への移行とODA」を開催

 

政治経済学部では7月12日に湘南キャンパスで、公開講座「途上国のグリーン成長への移行とODA」を開催しました。当日は外務省国際協力局開発協力企画室課長補佐の鈴木晶子氏を講師に招き、学生や教職員ら約100名が集まりました。本講座は、多彩な分野の第一線で活躍している社会人を講師に招き、東海大学の全学生を対象に「社会で今、何が起きているのか」を学んでもらうとともに、地域貢献の一環として学外にも公開しているものです。

講演で鈴木氏は、1954年に組織された開発途上国援助のための国際機関「コロンボ・プラン」に加盟して以来、現在まで続く日本のODA(政府開発援助)の歴史をひも解きながら、「お金よりも人を育てる」という日本の援助の基本理念を紹介。さらに、地球温暖化問題の現状と今後を考えると、経済成長と環境保全の両方を兼ね備えた思想がこれからの社会の要になると力説。「地球温暖化対策における先進国と途上国との意識の格差が問題になっていますが、環境に配慮してなお、より効果的な成長が期待できる“グリーン成長”という考え方が解決策の一つになると思います」と語りました。

その上で、気候変動の影響に伴う洪水や台風などの自然災害に対処するための能力を強化する防災対策や、太陽光・地熱、水力などの再生可能エネルギーの導入促進など、東アジア地域における低炭素成長の実現に向けた日本の具体的な実践モデル例も紹介。また、主要国首脳会議(G8)に参加する8カ国、欧州連合、新興経済国11カ国の計20カ国・地域からなるG20の取り組みなども紹介。「国によって抱えている状況は異なりますが、“グリーン経済”“グリーン成長”という考えは今後の途上国の経済発展において重要なキーワードになります」と結びました。

講演終了後の質疑応答では「ODA開発が効果的だったか否かは、どのように評価しているのか」「グリーン成長というキーワードで考えた時、まず思い浮かぶ具体的な施策を教えてほしい」などの質問が多く寄せられました。