逓信省の技官であった松前重義は、無装荷ケーブル通信方式の実用化に向けた実験に取り組んでいる最中の1933年、電話事業研究の目的で1年間のドイツ留学を命じられました。
留学中の1カ月余りをデンマーク各地の国民高等学校や酪農学校の視察に費やした松前は、「私にとってかつてこれほど、心に充足感を覚えた旅はなかった」と述懐しています。この体験が後に、国民高等学校の教育を範とした私塾、望星学塾――東海大学の母胎の設立につながるのです。
今回の企画展では、松前の留学の足取りを改めて追い、松前自身が現地で撮影した貴重な写真・映像資料の一部を紹介して、東海大学の教育の原点に想いをはせます。 |